私たち
出逢い
「写真、撮るよ」

「あ、ちょっと待って」



緑の綺麗な公園で、

彼女の姿をカメラに収める彼氏の姿があった。


その二人は、一見どこにでもいるカップルの一組だった。


「はい、どうぞ」

彼女が転がってきたボールを取りに来た持ち主の少年に渡した。

「おねぇちゃん、ありがとう」

少年はそう言って一礼すると、後ろで待っていた友達の元へかけていった。



「ねぇ、瞬も一緒に写ろうよ」


こんな仲のいいカップルにも、過去があった。

悲しい過去と、記憶が。


二人の出逢いは、酷く皮肉なものだった。



幸せそうな二人の笑顔の裏には、

苦しみを経験したことのある者にしかわからない優しさがあった。
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