トライアングル
「遅れてごめん」と入って来たのは多分萩原さんの同期の女の人で、
えーと、名前はなんだったかな?
「本当遅いよ。もう乾杯済ましたし!」
「あちゃー、残念」
「残念じゃあねーよ。今始まったばっかだから、山田もなんか頼め。で、何がいい?」
二人の弾むキャッチボールみたいな会話に一抹の不安を感じる。
だって考えてみたら、萩原さんにも付き合っている人が居るかもしれない。
居たっておかしくない。
もしかしたら、その付き合っている人は彼女、山田さんって言ってたかな?その人かもしれないし。
そう思うと人前だと言うのに自然と頭が垂れてくる。
仲良さげな二人の姿を目の当たりにすれば尚更。
いけない!責めて今この時間だけは笑っていなきゃ!!
みんなのいる前では普通にしなければ。
「ねぇ、ここの席いい?」