トライアングル



「遅れてごめん」と入って来たのは多分萩原さんの同期の女の人で、


えーと、名前はなんだったかな?



「本当遅いよ。もう乾杯済ましたし!」


「あちゃー、残念」


「残念じゃあねーよ。今始まったばっかだから、山田もなんか頼め。で、何がいい?」



二人の弾むキャッチボールみたいな会話に一抹の不安を感じる。



だって考えてみたら、萩原さんにも付き合っている人が居るかもしれない。


居たっておかしくない。



もしかしたら、その付き合っている人は彼女、山田さんって言ってたかな?その人かもしれないし。


そう思うと人前だと言うのに自然と頭が垂れてくる。



仲良さげな二人の姿を目の当たりにすれば尚更。



いけない!責めて今この時間だけは笑っていなきゃ!!


みんなのいる前では普通にしなければ。





「ねぇ、ここの席いい?」




< 20 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop