トライアングル
ふたりをチラリ交互に見詰めるけど、事の真相は分からない。
私の思い過ごしならいいけど。
再びモヤモヤとした気持ちが胸をせしめる。
でも、今さら焦っても仕方ないね。
それから私はいつものように瑠菜とその周りの人達と話しながら、何でもない振りしてその場をやり過ごした。
そして会はお開きになり、私は少し酔っぱらった山田さんに捕まってしまった。
帰りこそ萩原さんとふたりっきりになるチャンスだと思っていた私は、山田さんが突然抱きっいてくるから、かなりびっくりした。
「山田、お前どうしたの?こんなに酔うなんて疲れてんのか?」
私に抱き付いて来た山田さんに萩原さんが声を掛ける。
掛けるけど、かなり酔っぱらった山田さんの返事は「酔ってないしーー」なんて完全に酔っぱらってる人の返事が返ってくる。
「坂口さん、大丈夫か?
山田酔うと癖が悪いんだよな」
そんな事言いながら、後ろ頭を掻く萩原さんを見て、私は『今日はチャンスないかな?』なんて思ってしまう。
まさか酔っぱらってるとは言え、山田さんが居るのに告白なんて出来ないし。
「悪い坂口さん、山田の事頼んでもいいかな?」
本当にすまなそうに萩原さんに頼まれた私。
ただただ私は頷く事しか出来なかった。