トライアングル
今はそんな気分じゃあない。
出来ればすぐにでも家に帰ってベッドの中に潜り込みたい。
そう思うけど、山田さんの瞳はそれを許してはくれないと物語ってる。
「行くわよね、坂口さん。
どうせ今から帰っても一人でめそめそ枕濡らすだけでしょう。だったら私が話し聞いて上げる。
ひとり寂しく過ごすより、人に話せば少しは楽になるから」
「………」
確かに、山田さんの言うことはごもっともなのかもしれない。
知れないけど、やっぱり一人になりたい。
一人になって思いっきり泣きたい。
でもそれを許さないと言う目で見ている山田さん。
私は渋々彼女に従うしかなかった。
連れて来られたのは、山田さんの行き着けだと言う屋台のおでん屋だった。
何となく山田さんのイメージとは合わないが、それでも、慣れた様子で暖簾を潜る姿を目の当たりにすると、本当に行き着けなんだ。と認めざる終えなかった。
「いらっしゃい」
暖簾を潜ると元気な声が飛んでくる。
山田さんに習い隣に腰を下ろすと、山田さんは速攻注文を始める。
「おじさんいい?
えーと、こんにゃくにはんぺん、あと大根にたまご……」
えっ、山田さん、そんなに食べるの!?