トライアングル
山田さんは気付いて居たのかな?
私が萩原さんに告白出来なくて焦っていた事を。
◇◇◇
次の日、出勤すると瑠菜がすぐ近づいて来た。
「昨日、山田さんと帰って大丈夫だった?」
「え?」
私が更衣室で荷物をロッカーに閉まっていると、誰も近くにいない事を確認して、瑠菜は私には耳打ちしてきた。
「ほら、山田さんって仕事は物凄く出来る人んだけど、自分にも厳しい分他人にも厳しいって聞いたから、
美伽がドジ踏んで、何か言われて落ち込んでないかな?って」
「………」
そ、そうなんだ。山田さんってそんな人だったんだ。
けど昨日の山田さんはそんな人じゃあなかった。
物凄く他人に気を使う、気さくないい先輩だった。
だから瑠菜の言った台詞がなんだか信じられなくて、私は何も返すことが出来なかった。