トライアングル



「え?」


「あれ?忘れちゃった。前に誘った時『うん』って答えてくれたんだけど…」


「………」



いやいや、誘われたのは覚えてます。



でも、本当に誘って来るなんて思いも寄らなかったから、


そんな私だから、私は我を忘れ萩原さんの顔をまじまじと見詰めてしまた。



あまりまじまじと萩原さんの顔を見ていたら、彼は顔を私から背けた。




よくよく見ると萩原さんって可愛らしい顔をしている。



目なんて少し垂れぎみだし、でも、ちゃんと男してる。



外見はちょっと見取っ付きにくいけど、最近の男の子って感じのへなへな感がない。



「へへへーー……。坂口さんてなんか可愛いね」



私の無意識な行動に萩原さんは苦笑いを浮かべながら、ぼそっととんでもない事を呟いた。



『可愛い』なんて初めて言われた。



それも男の人から。




ほっと火の着いた様に赤く染まった頬を隠すことも忘れ、私の思考は停止していた。


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