もう一度抱いて
「ここって音楽を作るには最適な環境だよな。
すげぇはかどるんだ。
去年もここで、いっぱい曲が出来たんだ」


「へぇ…。そうなんだ」


静かで集中出来るし、空気もおいしいし、確かにそうかもしれないな。


「曲が出来たら、歌詞頼むな。
また一緒に考えてやるからさ」


「うん…」


一緒にと言われて、つい口元がゆるんでしまう。


「ねぇ、キョウセイ。
キョウセイの髪の長さと私の髪の長さって、ほぼ一緒くらいだね」


ちょうど肩につくくらいだよね。


「確かにそうだな」


「暑くないの?」


仕事中、暑そうに見えるんだよね。


しばってないと、私は首が暑くて耐えられないけどな。


「まぁ、暑いっちゃ暑いけど、慣れてるからなあ」


「ふぅん…」


キョウセイがタバコを吸い終わったので、なんとなく彼に近づいてみる。


後ろに回り込み、キョウセイの後ろに立った。


「なに?どうした?」


突然の私の行動に、ちょっと警戒気味のキョウセイ。


「髪、結んであげる。
私、もう一個ヘアゴムあるから」


「は?」
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