もう一度抱いて
途中、自動販売機でお茶を買い、私達は近くの緩やかな散歩コースへと足を運んだ。


私の前を歩くキョウセイ。


ひとつにしばった髪が、ゆらゆらと揺れる。


キョウセイはあの日以来、私があげた赤いヘアゴムをずっと使ってくれている。


毎日暑いから、ただそれだけの理由だとは思うけど。


でも。


私とお揃いのヘアゴムで、私と同じ髪型にしてくれていることが、すごく嬉しかった。


「なぁ。ここ上がると、絶景ポイントへ行けるらしい。
行ってみる?」


案内板を見たキョウセイが私に尋ねた。


「絶景ポイントがあるの?
行ってみたい」


「そんなに距離もないし、せっかくだし行ってみようか」


キョウセイにそう言われて、私はコクンと頷いた。


キョウセイと一緒なら、ちょっとくらい距離があっても楽しそうだもの。


私達はおしゃべりをしながら、ゆっくりと細い登山道を歩いた。


どれくらい歩いただろうか?


心地良い疲労が足に溜まって来た頃、ついに絶景ポイントに到着した。
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