もう一度抱いて
普段は賑やかな街だけれど、日曜日だとさほど人はいないみたいで、店内は空席が目立っていた。


私と彼はモーニングセットを注文し、窓際の席に向かい合わせに座った。


昨日会ったばかりの男の人。


しかも、ホテルで一夜を共にした男性と、こうしてモーニングセットを食べるだなんて、結構奇妙かもしれない。


彼は細く長い指でカップを持つと、ブラックコーヒーを口にした。


その仕草も、やっぱりどこか色気が漂う。


その姿をチラ見しながら、トーストを一口かじった。


「ねぇ…」


「ん…?」


「アンタ、名前は?」


名前…?


そう言えば私達、お互いの名前すら知らなかった。


「言う必要…あるかな」


私の言葉が意外だったのか、彼の動きがピタリと止まった。


「だってさ…。

やっぱ…、責任感じるし…。

聞いておいた方がいいかと思って…」


責任…ね。

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