もう一度抱いて
「やっぱり、あのコンパの日。
磯村君のこと気に入ってたのね…。
でも、彼は彼女持ちだった…。

ごめんね。
それを知ってたら、近づかせなかったのに…」


亜美が申し訳なさそうに眉を曲げる。


「いいの…。
亜美のせいじゃないから」


「でも…」


亜美は優しい。


昔からずっと、私の心配ばかりしてくれる。


「バンドになんて誘ってごめんね。
一緒にいたら、余計好きになってつらいのに…」


「ううん。
感謝してるよ…。
近くにいられるだけで、充分嬉しいから…。

苦しいけど、でも。

何も接点がないよりはずっといいから…」


「里桜…」


そうだよ…。


バンドのメンバーでいる限り、こんなに近くにいられるんだもの。


こんな幸せなことってないよ。


これ以上のことなんて、望まない。


いいの。


ただ、


そばにいられれば…。
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