もう一度抱いて
自分達の食事も終わり、食器を片付け終わる頃には、もう京香とキョウセイはどこかに出かけているようだった。


亜美が言うには、バスに乗って観光に行ったのだとか。


まぁ、一日中あの二人の姿を見るのもつらいし、出かけてくれた方が有難い。


「里桜ちゃん。部屋の掃除行こかー」


今日は部屋の掃除当番の日。


相原君がペアだ。


シーツを剥がし、ゴミを捨て、掃除機をかけ、ベッドメイキングをする。


何部屋か掃除を済ませた後、ついに京香の部屋の番になった。


「なんかイヤやなー。
ゴミ箱にティッシュの山とかあったらどないしよー」


相原君の言葉に苦笑いしつつ、私は部屋の鍵を開けて中へと入った。


ここはツインルームになっている。


もし、片方のベッドしか使ってなかったらどうしよう…。


そんなことが頭をよぎったけど、とりあえずどちらのベッドも使った形跡があった。


「里桜ちゃーん。ゴミ箱頼んでええ?俺やっぱ見たないわー。
俺、シーツ剥がしとくわー」


えーっ。


私だってイヤなのにーと思いつつ、ゴミ箱の近くへ行った。


とりあえずティッシュの山はないようで、ホッと胸を撫で下ろした。


でも、その直後。


ドクンと心臓が跳ね上がった。

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