もう一度抱いて
小さなゴミに紛れて見えた赤色の物体。


それは。


私がキョウセイにあげたヘアゴムだった。


どう…して…?


胸の奥にギュッと痛みが走る。


キョウセイ、もう必要なくなっちゃったの?


京香が来たから…。


私とお揃いのヘアゴムなんてしていたら、変に誤解されるから…?


だから、捨てたの…?


私はそのヘアゴムをゴミの中から拾いあげた。


パンパンとホコリを払い、ぎゅっと握り締める。


「キョウセイ…」


小声でそう呟くと、ポケットにそっとしまった。


一度あげたものだし、捨てようがどうしようが、そんなの別にかまわないけれど。


でも…。


こんなふうにゴミ箱の中にあるのを見ると、やっぱりショックだよ…。

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