もう一度抱いて
「里桜ちゃーん。そろそろ掃除機かけよかー。
あれ?どないしたん?」


「あ、あぁ…ごめん」


いけない。


しっかりしなきゃ。


慌てて立ち上がって、ゴミ箱のゴミを大きなごみ袋に入れた。


そして、掃除機のスイッチを入れて掃除を始めた。


ウィーンウィーンという音が部屋中に響き渡る。


掃除機をかける私のすぐ近くで、相原君はサイドテーブルや窓の桟を雑巾がけしていた。


「よし。次、ベッドメイキングやな」


ここは二人がかりで仕上げていく。


初めて教わった時は感動した。


こんなふうにやるんだーって。


最初は難しかったけど、この頃は少し慣れてきて、前よりはピンと綺麗に出来るようになってきた。


「終わったね。次の部屋行こうか」


やっとこの部屋を出られる。


そう思った時。


相原君がドアの前で立ち止まり、くるりと振り返った。
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