もう一度抱いて
「里桜ちゃん」


「え…?」


なに…?


いつもと違う真剣な目。


こんな相原君は初めて見る気がする。


その表情に少し戸惑っていると。


「さっき、ゴミ箱のところで泣いとったやろ?
なんかあったん?」


え…?


うそ…。


泣いていたことに気づいていたの…?


「や、やだなー。
泣いてなんかないよ。
ちょっと目にゴミが入っただけで」


わざとらしい声が出てしまい、一気に汗が噴き出した。


「里桜ちゃん、嘘下手やなあ。
わかりやす過ぎるで」


うっ。


確かに今のはバレバレな嘘だった。


「なぁ」


「ん?」


「里桜ちゃんて、もしかして…」


「え…?」


もしかして…。


もしかして、何…?


「キョウセイのこと…



好きなん?」


ドクンと、心臓が跳ね上がる。


どう…して?


どうして相原君、私の気持ちに気づいてしまったんだろう…。


「ち、違うよ」


いけない。


明らかに動揺した声が出ちゃったよ。


どうしよう…。
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