もう一度抱いて
「いいよ。気にしないで。

お互い事故だったと思えばいいよ。

私も忘れるから、だからあなたも忘れて」


私の言葉に、彼はなぜか目をきゅっと細めた。


「でも、アンタ女の子なのに…」


「え…」


「傷つけてごめん…」


そう言って深々と頭を下げる彼。


「あの…。えと。

ありがとう。

責任感じてくれて。

でもいいの。

自業自得だから。

だからもう、忘れよう。ねっ」


明るい口調で言ってみれば、彼は申し訳なさそうに2、3度頷いた。


この人、本当に普段はこんなことしない人なんだろうな。


逆ギレしたり、逃げる人も世の中にはいるだろうに、こうして誠実に向き合ってくれる。


それでもう充分だ。


「なぁ…」


「え…?」


「アンタで良かった…」


「ん?」






「アンタが相手でよかった…」
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