もう一度抱いて
「そうね。
正直ムカついたわ」


急に京香の口調が冷たいものに変わり、ドキッと心臓が音を立てた。


「ムカついた…んだ」


「うん…」


「ムカついたから、仕返しした…?」


「え…?」


「ムカついたから、平野君と…したの…?」


私の問いかけに、京香の表情が険しくなった。


「その話は随分前にしたでしょう?
平野君が無理矢理してきたのよ。
こっちは被害者。
ムカついたからって、そんなことしないわよ」


確かに京香は当時もそう言っていた。


だけど私は、内心信じられずにいた。


「でもね、京香。

平野君は、京香から迫られたって言ってたんだよ」


「は?なにそれ。
嘘ばっかり。
ひどい人ね。
そんな人別れて正解だわ」


別れて…正解?


私。


別れたくなかったのに…!
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