もう一度抱いて
「私…、平野君が言ったことが本当だと思うの。

だって彼、私とやり直そうと一生懸命だったよ。

それ以前だって、ずっと大事にしてくれてた。

それがいきなり京香に迫るなんて、どうしても信じられないよ」


本当に優しかったもの。


真面目で、誠実で、大好きだった…。


「何?それ。
自分は愛されてたから、有り得ないって言いたいの?」


私はコクリ頷いた。


「はっ。おめでたいわね」


呆れたように笑う京香。


「え…、どういう意味?」


おめでたいって、何?


「自分は絶対に愛されてるって信じてるなんて。

そんなのわからないじゃない。

例外だってあったのかもよ?」


「京香…?」


「みんながみんな、アンタのこと好きだとは限らないわ。

それが証拠に…。


私はアンタが大嫌いだったわ!」


え…?

< 172 / 479 >

この作品をシェア

pagetop