もう一度抱いて
「それにさ、離婚したウチとは違って、アンタはお金持ちのお嬢さんだもんね。

母親はピアノの先生だし、成績もやたら良いし。

そういうところも、なんかイヤミでイヤだった」


「そんな…!

じゃ、じゃあどうして今まで友達だったの?

親友だなんて言ってたの?

どうしてキョ…磯村君に私を紹介したの…?」


そんなに嫌いなら…。


キョウセイとあんなふうに、会わせないで欲しかった…。


「まぁ…私、他に友達がいないからさ。
全然いないんじゃ格好つかないし。それで付き合ってたって感じかな」


ひどい…。


そんなのって…。


「じゃあ…やっぱり誘惑したんだね」


「え…?」


「平野君のこと、誘惑したんでしょう?」


ジリと、京香を睨んだ。


こんな目をして彼女を見るのは初めてだ。


そして京香も、今までに見たこともないような冷たい瞳をして私を見ている。


しばらく睨み合っていると。


京香は急にフッと鼻から息を吐いて、ニヤリと笑った。






「そうよ…」

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