もう一度抱いて
「お人良しだよね。
善人ぶっちゃって。
腹が立つなら、正直にそう言えばいいのに。
アンタのそういう偽善的な態度に、腹が立つのよね」


「……っ。ひどい」


「私が憎い…?

憎いって感情は醜いよね。

結局、アンタも醜い人間ってことよ。

いつまでも良い人ぶらないでほしいわ」


気がつけば、目に涙がいっぱい溜まっていた。


悔しい。


悔しいよ…。


「京香…」


「なに…」


「もう、二度と会わない」


「そう?」


「絶交だよ。

京香なんか、もう友達じゃない」


「フン。

願ったり叶ったりよ。

友達ごっこはもうおしまいね。

じゃあね」


そう言うと京香はくるりと振り返り、キョウセイ達がいる方へと向かって歩いた。


だけど、2、3歩歩いたところで、急に私を振り返った。


「言い忘れてたわ。

わかってると思うけど、トモオ君は私の彼氏だからね。

あんまり仲良くしないでもらえないかしら。

出来ればバンドも辞めてもらいたいくらいだけど」

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