もう一度抱いて
その日の夕飯、京香とは顔を合わせないようにみんなが気遣ってくれて、私はキッチンでひたすら仕事をした。


次の日、京香はバスの時刻の関係もあって、朝早く出発したようだった。


宿泊客の朝食が終わり、自分達の朝食をいただいている時、キョウセイがダイニングルームに顔を出した。


「おはよ」


ボソッと呟くように言った後、彼は私達の横に静かに腰を下ろした。


しばらく続く沈黙。


みんな、ご飯をひたすら食べている。


その様子を見ながら、キョウセイはバツが悪そうにしている。


「……お疲れさん」


長い沈黙を破るように、小山君がボソッと言った。


その言葉に苦笑いをするキョウセイ。


そして、そんな二人を見ていた相原君がブッと吹き出した。


「大変やったなー、キョウセイ」


「ずっと気まずかったわねー」


亜美も明るい声で笑う。


みんなが笑う横で、キョウセイもクスッと笑った。


「まさか泊まりに来るとは思わなかった…。事前に何の連絡ももらってなかったし」


うっ。


やっぱりそうだったんだね。


「みんなが仕事してるのに、俺だけ宿泊客って、すげぇイヤだった…」


「せやろなー。俺やったら絶対イヤやわ。よう耐えたなー」


相原君の言葉に、みんなで笑った。


良かった。


これでいつもの雰囲気だ。

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