もう一度抱いて
「ごめん。ちょっとこっちのベッド動かしていい?」


「え?」


意味がわからずキョトンとしていると、キョウセイがベッドを壁側から部屋側に押して動かした。


そして、ベッドの下の床を一通り見た後、黙ってベッドを元の位置に戻した。


「ごめん。再開しようか」


そう言ってキョウセイは新しいシーツを広げる。


「どうしたの…?」


「…あ、うん。ちょっと探し物」


「探し物?何か失くしたの?」


私がそう聞くと、キョウセイが私の顔をチラリと見た。


「それが、さ。

永瀬がくれた赤いゴムが、どっか行ったんだ」


「え…?」


キョウセイの言葉に、ドクンと心臓が跳ね上がる。


「寝る時、手首につけてたはずなんだ。

でも朝起きたら失くなってて…。

てっきりベッドの下に落ちてるんだと思ってたけど、ないな…」

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