もう一度抱いて
「それはそうと、里桜。

そのロン毛君とは何かに発展しそうになかったの?

連絡先とか、交換した?」


「ううん」


「えー、なんで?

あんなに雰囲気良かったのに?」


「あー…。

まぁ、酔ってたしね。

あんまり覚えてないのよ」


ホントは覚えているけどさ。


「もしまた彼に会いたいなら、私に言ってよ」


「ん?」


どういう意味…?


「いつでも会えるわよ。

だって彼、小山君の友達だもの」


亜美の言葉に、ハッと目を見開いた。


そうだった。


亜美とその小山君って人が付き合うなら、私とあの彼の接点がないわけではないんだわ。


で、でもまぁ…。


あえてこちらから行かなければ、会うことはないわよ、ね…?


「ねぇ、亜美。あの人達ってさ、経済学部って言ってたよね?」


「そうよ。

しかも、バンド仲間」


「は?」


「あの4人、バンド組んでるのよ」


へぇぇ…。


音楽をやっている人達だったんだ…。


「小山君はドラム担当なの。

だからガッチリしてるのよね~」


嬉しそうに笑う亜美。


亜美はガッチリした人が、昔から好きだったのよね。


「ちなみにだけどさ、

里桜が話してたロン毛の彼はさ」


「ん…?」


「ギター担当だよ」


え…?

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