もう一度抱いて
「よいっしょーーー」


ビリビリやったけど、気合いを入れて立ち上がった。


ほんなら、なんとか立てた。


「里桜ちゃん、立てる?」


俺が手を差し出したら、里桜ちゃんが俺の手につかまった。


「せーのっ」


そう言って、里桜ちゃんをぐいっと引っ張り上げた。


ほんなら、彼女はよろけてもうて。


俺の右腕の中で、ぴたりと止まった。


「ご、ごめん。ちょっと待ってね」


体勢を戻そうにも足が痺れて戻せへんのんか、里桜ちゃんは俺の腕にもたれたまんまや。


そんな里桜ちゃんを引き寄せて、そっと抱きしめた。


抱きしめたら、里桜ちゃんはむっちゃ小さくて。


これ以上力を込めたら、壊れるんちゃうかと思った。


でも、それでも。


俺はぎゅっと抱きしめた。


なんや離しとうないなって。




そう…思ったんや。
< 226 / 479 >

この作品をシェア

pagetop