もう一度抱いて
ギターと言われて、なぜか彼の姿がハッキリと思い出された。


やけに細い人だったけれど、ミュージシャンだと言われれば、確かにそれがピタリと当てはまる。


あの細長い指でギターを弾く姿は、様になっているような気がする。


多分、相当カッコイイだろうと想像出来た。


「彼の名前って確か、磯村(いそむら)君だったよね?

彼ら、結構人気あるバンドらしいよ」


「へぇ…」


彼、磯村って言うんだ。


初めて名前を知って、なぜか胸がキュンと音を立てた。


「ねぇ、里桜。

さっきから里桜のスマホが光ってるけど?」


「え…?」


亜美に言われて机の上を見ると、確かに私のスマートフォンがピカピカと光っていた。


「メールだわ」


画面をタップし、早速受信箱を開いた。


「あ…」


表示された文字に、ドクッと心臓が跳ね上がる。


「どうしたの?里桜。

深刻そうな顔して」


「え…?あぁ…。

京香(きょうか)からメールが届いて…」


「京香…?」


私の言葉に、亜美の顔が強張った。

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