もう一度抱いて
「ほんまかいな…。
そら、ひでーな…」


相原君は呆然としている。


「ひどいでしょ?ホント、ひどいのよ」


「それやのに友達やっとったんか。そら里桜ちゃん、いくらなんでも人が良すぎんで」


相原君にそう言われて、思わず目を伏せた。


「そのことキョウセイが知ったら、別れるんちゃう?思い切って話してみるとか」


「ちょっ、ダメだよ、そんなの」


そんなこと、して欲しくない。


「なんで?あの二人が別れた方が、里桜ちゃんかてええやろ?」


「で、でも、やっぱり言うべきじゃないと思う…」


私の言葉に、相原君がハッと息を吐いた。


「お人好しやなあ、里桜ちゃんは…」


シュンとしていたら、非常扉が開いて、小山君とキョウセイがこちらへ走って来た。
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