もう一度抱いて
「前みたいに、ネットで調べて見に来たんじゃないかな」


苦笑いの小山君に、キョウセイは肩を落とした。


「……ごめん」


悲しそうに俯くキョウセイに、胸がチクリと痛む。


「まだ京香、この近くにいると思うわ。
私が声をかけたら、逃げたんだけど…」


呆れたように息を吐く亜美。


「俺…、アイツを追いかける。

永瀬の体調が戻ったら、またみんなで打ち上げしよう。

ホントにごめんな、みんな…」


そう言ってキョウセイはギターを担いで、階段を下りてしまった。


キョウセイ。


行かないで…。


心の中で叫んだけど。


キョウセイの足音は次第に遠退き、ついには消えてしまった。


ライブに向けて、みんなで必死で練習して来たのに、私のせいでブチ壊しになってしまった。


やるせなさだけが残ってしまった。
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