もう一度抱いて
朝田 京香(あさだ きょうか)。


亜美と同様、同じ高校の仲良しグループの一人だった。


高校卒業後、彼女は地元の短大に進学し、東京の大学へ進学した私や亜美とは離れ離れになってしまった。


メールのやりとりはあったけれど、たまに地元に帰った時に少し会うくらいなもので、この2年間はその程度の付き合いに留まっていた。


だけどこの春、短大を卒業した彼女は東京の企業に就職した。


4月からこちらで一人暮らしを始めていたことは知っていたけれど、慣れない都会での生活や初めての仕事で大変なのか、しばらく連絡がなかった。


そんな彼女もこちらに来て3ヶ月。


やっと少し落ち着いて来たので、久しぶりに会いたいとメールが入ったのだ。


「会ってなんの話があるっていうのよ…」


亜美は京香のことをあまり良く思っていない。


「こっちに知り合いもいなくて、寂しいんじゃないかな…」


ぼそっと呟いてみれば。


「里桜はほんっとお人好しね…」


そう言って、苦笑いされた。

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