もう一度抱いて
「そうなんやな?」


戸惑ったけれど、私はコクリ頷いた。


「トラウマになってんねやな。

ひでー話やな。

やっぱ最悪や、あの人」


相原君はひどく怒っているようだ。


「かわいそうにな…。

なんとかしてやりたい…。

俺じゃアカンのかな…」


相原君の言葉に、私は眉をひそめた。


「相原君、私にかわいそうはダメって言ってたのに。

なんとかしてあげたいーは上から目線だって言ってたじゃない」


私がそう言うと、相原君が目を見開いた。


「ホンマや。

同情はアカンって自分で言うたのに…。

そうやな。

ちょっと同情入っとったわ。

キョウセイのこと思うてる里桜ちゃんが、なんやかわいそうになってもうて。

ごめん。

結構ハマリやすいな、同情って」


「でしょ?」


「優しいヤツはそうなりやすいねんて。

里桜ちゃんも、俺も…」


相原君に言われて、少し笑ってしまった。


「それにしても。

それ、克服でけへんのかな…」


「え…?」


「ちゃんと好きな人と、結ばれたいよな…」



好きな人と、結ばれる…か。

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