もう一度抱いて
「お疲れ…」


ボソッと呟いて、気だるそうにギターを壁に立て掛けるキョウセイ。


小山がドラムセットから立ち上がって、キョウセイの元へと歩いて来た。


「キョウセイ…」


「ん?」


「これ…」


「何?」


そう言ってキョウセイが小山から紙を受け取った。


キョウセイの表情が一瞬にして変わる。


「退部届?」


「あぁ。さっき里桜ちゃんが提出したんだ」


「な、なんで?」


「なんでってそれは…」


言いにくそうに目を伏せる小山。


俺は指に力が入るのを感じていた。


「おい、キョウセイ!」


「な、んだよ、拓真…」


キョウセイが目をパチパチさせる。


「里桜ちゃんはな、お前のせいで辞めたんや」
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