もう一度抱いて
キョウセイが亜美ちゃんの顔をじっと見つめている。


俺は猛烈にキョウセイにイライラしていた。


「キョウセイ…。

お前がほんまに失いとうないんはどっちなんや?

朝田さんなんか?

それとも、里桜ちゃんなんか?

お前、このまま里桜ちゃんがバンド辞めてもええんか?

もう、会えへんようになってもええんか?」


俺の言葉に、キョウセイの目の色が変わっていく。


「永瀬は…今どこに…?」


「さっき出て行ったからな。

そない遠くへは行ってへんやろ」


俺がそう言うと、キョウセイはカバンを背負い、スタジオを勢い良く飛び出して行った。



キョウセイ…。



絶対呼び戻せ。



もう。



これ以上あの子を泣かせたら。




俺が許さへん。
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