もう一度抱いて




ついに、退部届を出してしまった。


辞めることで、みんなに迷惑がかかるのはわかってる。


だからと言って、私がいることも、みんなに迷惑がかかってしまうんだ。


本当は。


もし叶うなら。


みんなとずっと一緒にバンドをやりたかった。


でも。


私がキョウセイを好きな限り、もう歌うことなんか出来ない。


キョウセイ…。


これでもう、


あなたと私を繋ぐものが無くなってしまったね。


会わなくなれば、


忘れられるかな…。


いつか、忘れられるよね。


時間はかかるかもしれないけれど、


きっと、そのうち…。


そんなことを思っていた時だった。


大学の正門に差しかかったところで、誰かにグイッと腕を引き寄せられた。
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