もう一度抱いて
ビックリして足を止める。


誰だろうと思い、振り返るとそこには…。


息を切らしたキョウセイが立っていた。


「永瀬…」


苦しそうに私を呼ぶキョウセイ。


追いかけて来た理由がなんとなくわかるので、私はキョウセイの手を振り払おうと腕を引いた。


だけどそうしようとすると、ますますキョウセイが手に力を入れる。


「あの…。離してもらえないかな…」


冷たい口調で呟けば。


「離さない…」


キョウセイは真剣な瞳でそう言った。


「永瀬…。辞めるなんて許さないって言ったろ?」


それは…覚えてる。


覚えてるけど、でも…。


「もう歌えそうにないの…。

こんなんじゃ、みんなに迷惑かかるし。

だから、辞めること、許して…」
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