もう一度抱いて
「そろそろ中に入ろうか」


そう言って小山が、ガラガラと店の扉を開けた。


俺は最後に入ろうと思い、みんなが完全に店に入るのを待っていた。


その時だった。


拓真が俺のそばにやって来て、俺の肩に手をかけた。


「なぁ、キョウセイ。

気に入った子の隣に座らせたる。

どの子の隣に座りたい?」


「は?」


「お前、こういう席にあんま顔出さへんしな。

せっかくやし、選ばせたる。

はよ、決め」


なんだ、それ?とは思ったけど、もし選べるんなら…。


俺はある女の子を指差した。


「えぇっ?」


急に声を張り上げる拓真。


「なんだよ…」


「あ、いや…。

もう決まってんねやな。

ちょっとビックリしてん」


お前が早く決めろって言ったんだろうが。


変なヤツ。

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