もう一度抱いて
俺は彼女の声の良さには気づいていたし、彼女の歌を聴いてみたいと思った。


だから聴かせて欲しいと頼んだ。


彼女はしぶしぶではあったけど、キーボードの前に座り、歌い始めたんだ。


俺はそのピアノの弾き始めから目が釘付けになった。


そして彼女が歌い始めた時。


俺はすっかりその歌声に魅了されてしまった。


1979年のそのナンバーは、実は俺も知っている曲だった。


そのバラードと彼女の声の雰囲気はとても合っていて、すごくかっこいいと思った。


もう、これは彼女しかいないと思った。


俺と一緒にやるのはイヤかもしれないけど、それでもバンドに入って欲しくて、頭を下げて頼み込んだ。


彼女は繋ぎなら…ということで了承してくれたが、繋ぎになんかしない、ずっと正式にやってもらおうと、もう俺の中では決めていた。
< 290 / 479 >

この作品をシェア

pagetop