もう一度抱いて
その日の夜、京香が俺のベッドに入って来た。


実は俺と京香は、まだ一線を越えたことがなくて…。


もうそのつもりでペンションに来たんだってことはわかっていた。


でも俺はバイトで疲れているからと言って、やんわりと断った。


京香はしぶしぶ承知してくれて、俺はホッと胸を撫で下ろした。


ここのペンションのツインルームは、ベッドが壁と壁に分かれていて距離があるから助かったと思った。


電気を消して布団に入ると、俺は京香に背を向け、壁の方を向いて寝た。



そして…。



手首につけている永瀬にもらった赤いヘアゴムに、そっとキスをした。



京香が現れたことで、俺は自分の気持ちにハッキリ気づいてしまった。




俺は、




永瀬が好きなんだってことに…。
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