もう一度抱いて
俺と一緒に、一生懸命書いた歌詞のノートも置いて。


どうして…?


どうして辞めるんだよっ。


胸の奥がキリキリと痛む。


アイツとの接点が、全て無くなってしまう。


そんなの…。


絶対イヤだ…。


呆然と立ち尽くす俺に、拓真が見せた永瀬の書いた歌詞。


すぐにわかった。


これは、俺がアイツに贈った曲につけたものだと。


あれは、俺が永瀬を想いながら一日で作った曲だった。


好きと言えない代わりに。


精一杯の思いを込めて。


眠れない夜、抱きしめてやれない代わりに。


ぐっすり眠らせてあげたくて。


だからこの曲に、歌詞が付けてあることがすごく嬉しかった。


しかもアイツも。


俺を思って書いてくれていた。

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