もう一度抱いて
「ねぇ、キョウセイ…。

ひとつだけ、教えて欲しいことがあるの」


「ん…?何?」


「京香のこと…」


私がそう言うと、キョウセイは持っていたコーヒーを机の上に静かに置いた。


「京香がね、言ってたの。

トモオ君は私とは絶対別れないって言ってくれてるって。

あれって、どういう意味なのかな…?

何か、理由があるんでしょう…?」


恐る恐る問いかければ、キョウセイは後ろのベッドにもたれて、悲しそうに目を伏せた。


「教えて、くれる…?」


キョウセイはしばらく何か考え込んでいる様子だったけど、むくっと身体を起こし、私の腕をグイッと引っ張った。


突然のことにビックリしていると、いつの間にか私はキョウセイの前に座らされていて。


すかさず後ろからぎゅっと抱きしめられた。


「あの、えと…」


ドキドキして固まっていると、キョウセイは私の左肩にそっと顎を乗せた。


「全部、話すよ…」


キョウセイは、私の耳元で静かにそう呟いた。

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