もう一度抱いて
うちの大学には、4階建ての課外活動施設がある。


主にはサークルの部室があって、会議室やスタジオまである充実したホールだ。


「音楽スタジオは地下にあるのよ」


そう言って亜美が地下へと続く階段を下りて行く。


「ここよ」


亜美が足を止めたのは、光沢のある青いドアの前。


その分厚いドアを開けて、躊躇することなく中へ入る亜美。


私もドキドキしながら、中へと入った。


「あっ、亜美ちゃーん」


中から太く大きな声が響く。


「小山君。来たよー」


亜美の視線の先を見ると、ドラムセットに座る短髪の男の子の姿が見えた。


「里桜ちゃんも一緒なんだー」


カーッと大きな口を開けて笑う小山君。


り、里桜ちゃんて…。


合コンの時の事はほとんど記憶にないから、私の中では初対面に近いんだけど。


「他のメンバーは?」


亜美がきょとんとして問いかける。


「あー、まだ僕だけなんだ」


まだ来ていないと聞いて、ちょっとホッとしてしまう。


でも、これから確実に会わないといけないんだ…。


はぁ…、なんだか憂鬱…。

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