もう一度抱いて
「俺と別れたって、アイツ大丈夫だよな…？

そんな自暴自棄になったりしないよな…？」


「う…ん…」


どうなんだろう…。


正直よくわからないけど。


でも…。


「あの…ね。相原君が言ってたんだけどね…」


「拓真が？」


キョウセイがきょとんと首を傾げる。


「かわいそうだからって同情して、どうにかしてあげたいって思うのは、相手の力を信じてないからなんだって。

周りがそういう扱いをするから、その人はいつまで経ってもかわいそうな自分から抜け出せないんだって…」


「アイツ、そんなこと言ったの？」


「うん…」


「すげーな、アイツ。

ちょっと見直した…」


相原君のお陰で、私も京香と向き合えた。


彼には本当に感謝してる。


「同情で一緒に居ても、アイツの為にはならないってことか…。

そうだよな…。

俺、どうかしてたな…」


悲しそうに目を伏せるキョウセイに、私は首を横に振った。


「私も同じだったの。

京香の過去を知って、かわいそうだと思って。

力になりたいって思ったの。

だけど気がつけば、腫れ物に触るように気を遣って接するようになってた。

そんなの…、本当の友達じゃないよね…」


「そうか…。

永瀬もそうだったんだな…」


そう言ってキョウセイが、頭を撫でてくれる。


私とキョウセイって、本当にすごく良く似ていると思う。


だから、こんなにも惹かれるのかな…。
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