もう一度抱いて
ひとつの別れと穏やかな時間
次の日の水曜日、1限目が終わった後、私と亜美は講義室で話をしていた。


「そう。磯村君と付き合うことになったんだ…」


優しい瞳で笑う亜美。


「…うん」


「じゃあ、あの退部届は破棄していいのね?」


「あ、うん。ごめんね…」


「ううん。辞めて欲しくなかったから嬉しいよ。
小山君も相原君も、里桜とずっとやっていきたいって思ってるんだから」


そうなんだ…。


嬉しいな。


みんなの気持ちが…。


「でも、さ」


「ん?」


「心配だよね。京香が…」


京香と言われて、胸がズキンと痛んでしまう。


私とキョウセイが付き合うって知ったら、京香はどう思うだろう。


高2の時の浜田君と竹森君の件でも、あれだけ引き摺っていたんだもの。


想像しただけで本当に恐い。


「まぁ、でもさ。
京香ももういい加減大人なんだし、そこまでバカな行動は取らないと信じたいわ。

二人は付き合った期間も短いし、8月はほぼ会えなかったんだから、大丈夫なんじゃない?」


「…だといいんだけど…」


「大丈夫だって。
婚約破棄するわけじゃないんだから」


そう…だよね。


二人は体の関係もなかったわけだし、大丈夫だよ…ね?


どうか、無事に話がつきますように。


そう願わずにはいられない私だった。




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