もう一度抱いて
部長から早速、大学祭の説明を受ける。


一年生にとっては初めての大学祭。


もちろん、私にとってもだ。


軽音部と言ってもジャンルは様々で、ロック、ポップ、ジャズ、音響系など、とても幅広いようだ。


2TRのように全曲オリジナルで臨むバンドもあれば、コピーを披露するバンドもあるらしい。


話を聞いていてわかったのは、2TRはこの軽音部の中でもかなりの本格派で、レベルが高いということだった。


なので、私達のバンドは最終日のラストに演奏するようだ。


部長の話を部員全員で静かに聞いている時、キョウセイがこっそり私の手を取った。


トクンと心臓の音が鳴る。


会議室の窓際、一番後ろに立っている私達。


キョウセイは私の手を優しく握ってくれている。


こんなに大勢の人がいるのに、シンとしたこの空間の中で手を繋ぐのは、なんだかドキドキして、すごく恥ずかしいけど嬉しかった。

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