もう一度抱いて
不穏な足音
次の日の夕方、俺は課外活動ホールのスタジオに入っていた。
今日は待ちに待った金曜日だ。
昨日部屋に帰るとすぐに部屋を掃除して、食品の買い出しに出かけた。
夜はなんだか興奮して眠れず、今日はちょっと寝不足だ。
明日はどこかへ出かけようかな?
永瀬の行きたいって言うところへ行こう。
でも永瀬となら、別に部屋でずっと過ごしてもかまわないかな。
恋人なんていても面倒なだけだと思っていたけど、永瀬に関しては違う。
俺の方が積極的になってるかも。
やべぇ。
もう完全にハマってる…。
「おい、キョウセイ」
拓真が鋭い声で俺を呼ぶ。
「どうした?」
「さっきからなに一人で百面相してんねん!」
「は?」
百面相?
この俺が…?
「デレデレしてキモイねん。
あー、わかった。
今日金曜やし、里桜ちゃんお前の部屋に泊まるんちゃう?」
ドキッと心臓が跳ね上がる。
どうしてわかったんだ?
「せやろ~?」
ニヤニヤ笑う拓真。
くーーーっ、もう!
「あぁ、そうだよっ。文句あるか?」
照れ隠しに、訳も無くギターを鳴らしてみる。
「やっぱそうやんな~。
俺、そういうのは勘がよう働くねん」
うぅぅ~。
なんかすげー恥ずかしい。