もう一度抱いて
「何?どうした?」


電話中の小山に呼ばれる理由がわからず、目がパチパチしてしまう。


だけど、いつにない小山の深刻そうな顔に、ゾクリと背中に冷たいものが走った。


「清水先輩が、キョウセイと電話を代わって欲しいって…」


清水…?


その人って確か、小山の高校時代のラグビー部の先輩で、京香の会社の先輩だよな。


なんで、そんな人が俺に…?


ドクンと心臓が大袈裟に音を立てる。


やばい…。


イヤな予感しかしない。


無意識に震えてしまう足を動かし、小山のいるドラムセットへと近づく。


手を伸ばし、小山から携帯を受け取ると、俺はすぅと息を吸った。


「はい…。磯村です」


恐る恐る電話に出た。
< 351 / 479 >

この作品をシェア

pagetop