もう一度抱いて
体調を崩す…?


その程度のことなら、会社に連絡出来るはずだ。


そこまで常識のないヤツじゃない。


よほどのことがない限り、無断欠勤なんかしないはずだ。


空気が急に張り詰める。


息をするのも辛くて、立っているのがやっとになる。


『キミは、朝田の家を知ってる?』


「あ、はい…」


『悪いんだけど、彼女の家まで様子を見に行ってもらえないかな?

もう別れていてキミには関係ないことはわかってるんだが、他に頼める人がいない。

頼めるかな…?』


清水さんの丁寧な話し方が、かえって俺の心をぐちゃぐちゃに掻き乱す。


仮に頼める人が居たとしても、最終的には俺が行かなくちゃいけないんじゃないのか…?


何があったかはわからないけど、その原因を作ったのは、間違いなく俺なのだから。


「わかりました。様子を見に行って、またご連絡します…」


『そうしてもらえると助かるよ。同じ部署のみんな、彼女を心配してるから…』


「はい。それでは失礼します…」


震える手でボタンを押して、電話を切る。


そして、そのまま後ろの壁にもたれかかった。
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