もう一度抱いて
みんなの視線が一気に私に向かう。


「ちょっ、亜美。
いきなり何言い出すのよ」


みんな心なしか、引いちゃってるじゃん!


「みんな聞いて。里桜はね、4歳から18歳までピアノを習っていたのよ」


「え…?そうなの?」


小山君がビックリした顔で私を見ている。


「で、でもクラシックだよ。

母親が自宅でピアノを教えてるものだから、半ば強制的にやらされてただけで…」


「充分すごいじゃん。

4歳から18歳って言ったら、14年もやってたんでしょう?

相当弾けるはずだよね?」


そう言って小山君が身を乗り出す。


「すごいわよ。

めちゃくちゃうまいんだから。

音感が良いから、歌も当然上手だし」


亜美、あんまり言わないでよー。


「えー、ほんなら里桜ちゃん。

キーボードで、バンドに加入せぇへん?

キーボードあったら、もっと曲に広がり出るしな」


そんな。相原君までやめてー。


ブンブンと必死に首を振っていたら。


「なぁ…」


中低音の優しい声が、スタジオ内に響いた。


磯村君が、私の目を真っ直ぐに見つめている。


あまりに綺麗な、その澄んだ瞳にドキドキしていたら。


「歌…、聴かせてくれる?」


とんでもないことを言い出した。


な、なななんですと~~~???

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