もう一度抱いて
「平気じゃねぇよ!!」


俺の声が、講義室に響き渡る。


思わず叫んでいた。


もう…叫ばずにはいられなかった。


拓真がびっくりした顔で目を見開いている。


「平気なワケ…ないだろう…?

俺が…。

俺がどんな思いで…」


どんな思いで、永瀬の手を離したと思ってんだよ…っ。


泣かすのわかってて。


ますます眠れなくなるの、わかってて…。




どれだけ金曜の夜が待ち遠しかったか。


コンパで出会ったあの日から。


ずっとずっと気になっていて。


やっと思いが通じ合えて。


やっと手に入れたと思ったのに。


握りしめた途端、砂が手をすり抜けるように、こぼれ落ちたんだ。


永瀬しかいないのに。


本気で愛してるのに…。

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