もう一度抱いて
そんなことを思いながら、スタジオの前に到着した。


ふぅと息を吐き、ドアノブに手をかけた時だった。


ドアにある丸い窓の向こうに、床に座る永瀬の姿が見えた。


そんな永瀬を抱きしめている拓真。


心臓がドクンと音を立てた。


その状況にもショックだったけれど。


それ以上にショックだったのは……。



すっかり変わり果てた



永瀬の姿だった。



細い腕、細い脚。



頬はこけて、顔からは光が失われていた。



永瀬がこんな姿になるなんて。




全部…。




俺のせいだ…。

< 395 / 479 >

この作品をシェア

pagetop