もう一度抱いて
「あんなあ、人が幸せにしてくれるんやないんやで。

自分を幸せにするんは、自分なんやで」


俺がニッコリ笑うと、朝田さんは目をパチパチさせた。


「まずは自分を認めるんや。

自分を好きになって、自分をいじめるのをやめる。

そうやって、自分を大切にするんや」


「自分を、大切に…?」


「うん。

そうやってたらな、同じように自分を大切にしとるヤツが、朝田さんの目の前にいつか自然に現れるわ。

そん時にはもう、相手の行動にいちいち嫉妬することも、不安になることも無くなってるはずや」


自分の軸がしっかりしとったら、少々風が吹いても揺れへんからな。


「相手に求めるんやのうて、欲しいもんは自分で自分に与えてやるんやで。

それが出来て初めて恋愛が出来るんや。

人を愛することが出来るんやで」


俺がにっこり笑ったら、朝田さんも今日初めて笑った。


今まで見たこともあらへんような、スッキリしたええ顔で。
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