もう一度抱いて
ふと腕時計を見ると、思っていたよりかなり時間が経っていた。


そろそろ帰った方がええかな?


「一方的に色々言うてごめんな。

ちょっとだけやって言うたのに、結構長い時間とらせてもうた」


俺の言葉に、朝田さんはううんと首を横に振った。


「確かに、最初はちょっとムカついたけど。

でも…。

私にこんなに本気でぶつかってくれたのは、相原君が初めてだったわ…。

同情でも、下心でもなく、対等に接してくれて。

なんだか私、すごく嬉しかったわ…」


「そか。ほんなら良かった」


俺は人を上とか下に見たりせぇへんからなー。


お前はほんま自然体やなーって昔からよう言われるし。


これは絶対、オカンの影響や。


まぁあの人の場合、もうちょっと周りの空気読んで欲しい気もするんやけど…。
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