もう一度抱いて
「あっ、やべぇっ」


ボーッとしていたせいで、カレーが少し焦げてしまった…。


思わずため息が出た。


一体俺は、何をやっているのだろう…。


それにしても、今日は遅いんだな。


確か、残業はないって言っていたはずだけど…。


そんなことを思っていたら、玄関からガチャガチャと音が聞こえ、その直後、ガチャンと扉が開いた。


「ただいま」


京香が顔を出す。


「あ、あぁ…。おかえり」


「今日はカレーなのね。いい匂い」


にっこり笑いながら、靴を脱ぐ京香。


「もうお腹ぺこぺこ。

ご飯もう炊けてるね。私、お皿用意するわね」


そう言って京香が、棚から皿を出す。


俺は冷蔵庫を開けてサラダを出し、スプーンと箸を部屋のテーブルへと運んだ。
< 421 / 479 >

この作品をシェア

pagetop